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雑記帳変更に伴い、団長の愛らしい絵を終結させて見ました。

温度差 3 【完結】 18禁

 唇を甘噛みされて、その快感に震えた。
 
 キス。

 たかがキス。

 されどキス。

 唇を合わせるだけで下半身に血液が集中するなんて……。

 少し波間を彷徨っていた俺は、ごそごそとズボンからシャツを引き抜かれる感触で我に返った。

「ちょ…マイルッ」
「少しだけ、少しだけタレンを感じさせて」
「待てって」
 手を持って制すると、寂しそうな瞳が降ってくる。

 そんな顔されちゃ、文句が、言いにくい……。

 俺は再び抱きこまれて、マイルのペースにはまっていった。

 木の幹に背中を預けた姿勢でなすがままにされる。
 少しだけ、少しだけだから、と自分に言い聞かせながら、マイルの唇を受け止めていた。
「フッ……」
 首筋に下がった唇の感触で思わず息が漏れる。
 マイルしか経験ないからわからないけど、うまいのかなぁ……。

 でも、デリカシーはなさそうだ。

 今までも、そうだった。

 なのに、すっかり前のボタンを外さ、肌をむき出しにした俺に「寒くないか」なんて何度も尋ねてくる。
 調子が、狂う。

「へ、いき……暑い、くらい」

 そう返すのが精一杯で、俺は彼の柔らかい髪をぐっと掴んだ。
 何かにしがみ付かなければ、何処かに浚われてしまいそうで怖かった。

 前にも何回かこういうことはあって、マイルの誕生日のときも…その、最後までして、そして今回。
 なんかゾクゾク感が増えているというかなんていうか……。
 鎖骨のところを舐められて、吸い付かれて、息も荒くなるし、下半身も熱くなる。
「こっちも……」
 服の上からなぞられて、首を反らした。
 先ほどより強い快感が欲しくて、「少しだけ」なんて口走ってしまう。
 恥ずかしいけど、俺だって男だし、こうなったからには出したいって思うから……。

 慣れた手つきでベルトを外されて、前を開けられて、取り出される。
 乾いた空気に触れて、少し震えた。

「僕のも」
「う、うん……」
 同じように前を寛げて……戸惑う。
「タレン?」
 えぇいままよ、で取り出して、太い竿を掴んだ。
「ン……」
 鼻に抜けた声。
「気持ち、イイ?」
「ああ、凄くイイ」
 もう一度キスを求められて、お互いを擦って達して終わり。
 
 

 だと思ってた。

 だけど、なんか、ウシロがむず痒くなって来るんだ。

 一度そこで感じた経験があるからだろうか。

 他の刺激が欲しくて、身体の中を虫みたいのが駆け巡ってくる。
 そんなことを知ってか知らずか、空いた手で俺の尻をやんわりと撫ぜてくる。
 でも、欲しいのは、欲しい刺激はそこじゃなくて……。

 思わず涙が出た。
 いつの間にか自分の身体が、自分のものじゃなくなった感じがして、情けなくて。

「ご、ごめん。いやならもう…触らないよ」
「ち、ちが……」
「……タレン?」

 滲む涙を吸い取られてながら、後で目を冷やして置くように言われた。
 フィズ少尉に悟られるだろうから、その助言はありがたく受けておく。

 宥められるようにキスをまたされて、勢いを失わない俺を擦られて……。
 でもやっぱり欲しい刺激は貰えなくて。
 どうしたらこのムズムズは消えるんだろうか。
 
 俺が悶々しているとオクトが言いにくそうに聞いてくる。
 
 身体は勿論だ、と言うのだけれど、何故だか大きなしゃくりがでた。
「どうにかしてくれよ、馬鹿ヤロー……」

 中途半端にズボンを下ろされて、マイルに抱きついたままウシロを弄られる。
 指を入れられたり、周りを擦られたり、色んなやり方で翻弄される。
 俺はマイルを握ったまま、陸に上げられた魚のように口をパクパクさせるだけだった。
「ンゥ……」
 入ってくる感覚よりも、抜くときの方が凄い。
 なんだろうと思ったら、少し指を曲げているみたいで、えっと、中に引っかかって……それが刺激に……ごにょごにょ。
 マイルは俺が反応するのが面白いようで、それを何度も繰り返す。
 一度圧迫が増えたと思ったら、指が増やされて、それに慣れたと思ったら、また指を減らされて、喪失感に泣いて……。

 すっかり、エロい身体に変えられてしまったようで……悔しい。

「タレン、あんまり強く握らないでくれよ」
「あ、ごめ……」

 耳元で「出ちゃうから」と言われたら、頬を染めるしかない。
「可愛い、タレン。すっごいエロイ」
 お前の声のほうが十分エロイ、そう言い返したいけれど、口がもごついてしまう。

 マイルはそのまま俺の膝に手をかけた。
 あっという間に片足をズボンから抜かれて抱えられる。

 丸く熱いのがウシロに当たって、息を呑んだ瞬間にデカイのが入り込んできた。
「~~~~ッ!!」
 マイルの制服の襟辺りを噛んで声を堪える。
「い、きなり……」
「ごめん、我慢できなかった。痛みは?」
「ばかやろ……」
 涙ぐんだまま睨みあげる。
 その顔は逆効果と少し前に言われたことを思い出したけど、そんなことどうだっていい。
「落ち着くまで待つよ。だから蹴りだけは勘弁してくれ」
 そう言われるとやりたくなる。
 だけど俺もこの中に溜まったムズムズと熱をどうにかして欲しいから、ぎゅっとしがみ付く力を強めるだけにした。
 ハァハァとたくさん呼吸をして自分を落ち着ける。
 ありがとう、とぶっきらぼうだけど優しい声が耳に届いた。

「あ…い…ぁ……」
 やっぱり、入れるときよりも抜くときの方が気持ちがいい。
 衝撃がそこからビリビリとくる。
「気持ちよさそう」
 頬に愛おしそうに唇を受けた。
 見やると、マイルも眉根を寄せて気持ち良さそうにしている。
 その顔を見たら、自分の中で何かが融けたような気がした。
 身体もドロドロになって、そのドロドロにマイルの堅いのが突き刺さってくる。だから余計にその感触がリアルに伝わった。
「マイ…マイル……」
 がむしゃらにしがみ付いて支えてもらうけれど、マイルももう限界で……。

 ごめん、と謝られて、身体を反転させると、先ほどの柔らかい布とは違う、堅く痛い木の幹に縋り付く。
 
 振り向いた瞬間、先ほどよりも奥に楔を穿たれて、顎が反れる。
 俺の背中にぴったりと重なって、耳元に熱い息が吐かれる。
 名前を熱く、何度も呼ばれては燃え上がらないわけもなく……。

「あっ、あっ……」
「くっ……」
 前を擦られて追い上げられて、ギュッとマイルを締め付けると耳元で息が詰まった。
 そうすると中のマイルが太く感じて俺も、やっぱり限界。

「も…でる……」
「僕もだ」

 それからは出すことだけしか考えられなくて、自然と腰が動いた。
 恥ずかしいと感じることさえもなく、夢中だった。

「……んっ」
 耳元で掠れた声を聞いたとたん、俺も精を吐き出した。
 中で脈打つモノの硬度がゆっくりとなくなっていく。

 耳に愛してると熱っぽく囁かれ、ダランと首を下げたまま僅かにだけ頷く。

 疲れた。

 いつもみんなこんな全力投球でセックスをしているのだろうか。

 ずるりと膨張してなくても大きいものが出て行くと、中から一緒にマイルの吐精物が落ちてくる。
 その感触の悪さに、わわっと声を上げて、腰を下げた。
 何故か内股になる……。

「夢中になってつい」
 あはははと笑うマイルに腹が立った。
「でも、タレンも夢中だっただろ?」
「うっ……」
「次は気をつけよう」

 まったくもってムードのかけらもなく、マイルの持っていたハンカチで拭われていく。
 カッコ悪い。
 消え去りたい。

 冷静になればなるほどそういう思いで溢れる。

「こんなところでするなんて……」
「うん、もうやめよう」
「絶対だぞ?」
「うん、絶対だ」

 立てる? なんて何事もなかったような顔で言われる。
 なんか俺とは温度差が違う? と改めて思った。

 ずっとマイルが熱く、俺のほうが冷たいと思っていたけど実は逆なんじゃ?

「なんかムカつくっ!」
「え?」
 いそいそとズボンを上げて顔を膨らませた。

 俺のほうがマイルの事を好きだなんて、悔しい。

 絶対立場を逆転させてやることを誓う。

「タレン、どうしたんだよっ」
 そう悲しそうな犬みたいな顔で追ってくるといいさ。

 ……じゃないと、恥ずかしくってどうしていいかわからないからさ。
 

 唇を尖らせたら、俺の気持ちを察してくれたマイルの唇が言葉と一緒に降りてきた。

 ……バーカ。

 呟かれた言葉に少し気持ちを浮上させた。

 なんか、全部見透かされてる気がする。でも、そういうのも悪くないかな、と思う最近の俺だった。

 
 ゆっくり、一歩ずつ。

 歩めているかな?

 
 ……そうだと、いいな。

                           終わり

報告書:5月分

拍手賛同・コメントありがとうございます。
手下が代理で勝手にコメント返し!!

5/8
>本部を民間に解放って… ここは公共機関だったのか…
王立の機関です(笑)
放流と言っても川には流しません。ふぁっさ~で溢れちゃうじゃない!!
応援ありがとうございます。頑張ります。

5/9
>さっきからオクトがずっとこちらを見ています!あうあうあうあう
レスお任せと言うことで、レスしましたよー。
可愛いですよね、団長のオクタレ……(*・・*)ポッ

>いつか、団長さんのエロ可愛い挿絵がついた たかださんのオクタレ小説が読める事を願っています(祈願)
だそうですよ、団長!!
今度は拍手100連打まで頑張ってくださいね、Fさん!!

5/11
>「繁殖記録」 拝読させて頂きましたーー!!
あざーーーす!
誤字報告もありがとうございました!
オクト目線、ちょっと違うけれどどうでしたか!?(笑)
続き頑張ります。

5/12
>ああ!惜しいっ。直で触れたのにぃぃぃ(笑)
ねぇ、触れたのに……でももう少しでエロですぉ……

>結成は何となく知ってましたが、ここまで本格的活動をされてるとは思いませんでした!(大爆笑
全ては団長の萌えのお陰。いつもありがとう、団長!
>天敵に襲われた時にオクトに守らせる、だなんてらぶり~設定は、
>タレンちゃん自分で天敵も撃退しそうだしなぁ…(笑)
>というか、天敵ってなんだろう(笑)

やっぱりオクトじゃないのかな?
ドラプラ版「嵐の夜に」見たいな感じ(笑)

5/18
>2コマ目の、2コマ目の……、ネコがかわいい~!
>(オクトじゃなく、ネコがーーー!!!)

オッ君だってかわいいんだい!

5/19
>いつになったら睦む事ができるのか。作者もわからんですが気長にお待ち頂けると嬉しい。
気長に、ハァハァしながら待ってます!
>ああん、タレチン…何度見ても団長のタレチンかわいい
本当ですよねぇ(うっとり)
手下でよかった……

5/26
>いやん、甘いです。甘すぎます~vvv
ぐはっ! 団長自らのコメ……ありがとうございます。
次はエロです、絶対合体させます! 待っていてください!

>ところで、次の「アレ」って、リ○病ですか? (^▽^)
ちゃいます。OTPOはリバ病を回避するための法人なのでありえませぬ。
というか、考えたくない……orz

表現力!

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ファイル 5-1.jpg

温度差 2

『もう少し話をした方がいいと思うんだ』

 真剣な顔のタレンにこういわれたのが二週間前だった。

 それから、タレンとはあまり会うことの無い生活を送っている。
 別に別れたとか、気まずくなったとかではない。

『もっとお互いをよく考えることがあるはずだ』

 そう言って頑固に僕の言葉を突っぱねるタレンに合わせることになった。

 僕としては、かなり考えて(……考え過ぎて頭がグチャグチャなってあの行動に出てしまったこともあるのだが)いるのだが、タレンには僕はまったくタレンの事を考えていないらしい。

 なので、ここのところタレンに会うのは仕事上の繋がりだけだ。

 久しぶりにあうと、やっぱりタレンは可愛くて、まっすぐで、少しまぶしい。
 そこがやっぱり好きだな、と思う。

 気持ちがあればカラダなんて、とタレンはあの時言ったが、気持ちもカラダもすべて僕のものにしたい、というのはただの独りよがりなのだろうか。
 男だったら、そう思うべきじゃないだろうか。

 タレンは恋愛初心者と言うことを盾に、逃げているだけのような気がしてならない。

 そんなこと考える僕の気持ちは、重いのかな、やはり……。

 過去を思い出して憂鬱な気持ちになった。

 仕事をしていても、何をしても考えるのはタレンの事だけだった。
 お陰でしなくてもいい凡ミスばかりしてしまう。

 頭の悪い上司に怒られて、湧き上がった怒りを静めようと廊下に出た。
 無意識にタレンを探す。
 もう少しで一階のあの廊下を通るはずだ……。

 大臣と歩くタレンの体が小さく見えてくる。

 僕は強く念じた。

 向け。
 こちらを向け。
 こちらを向いてくれたら、また頑張れる。

 
 しかし、それも空しくタレンはさっさと通り過ぎ……僕は自分のやってることに馬鹿らしくて手すりに背を向けた。

 相当憮然とした顔をしていたのだろう。
 僕の顔を見てびっくりして逃げていく奴がいる。
 フン。
 自分でも落ち込むくらいバカな行動だったんだ。それを思い知らせてくれるなよ。

 溜息をつきつつ、僕はもう一度タレンが消えていった先を見る。

 すると……いた。
 
 呆れたような顔をした彼が、僕を見ていた。
 

―――バーーーカ。

 そう唇が動いて、最後に笑ったように見えた。

 僕は手すりから身を乗り出して、同じように唇だけで返す。

 一瞬きょとんとした顔のタレンが、やっぱり呆れたように笑った。

 その日の夜、僕はタレンの部屋を訪れた。

「なんか久しぶりすぎて、緊張するというか……」
 落ち着かないそぶりで彼に言うと、タレンに馬鹿にされ、小突かれながら、僕らは人気の無い逢引に適した場所(と思っているのは僕だけ)に出た。

「マイルと話すの、本当に久しぶりだな」
「ああ」
「相変わらずミスばっかりしてたんだって?」
 
 ちっ。アイツか。おしゃべりめ……

 僕が舌打ちをすると、コロコロとタレンは笑った。

「成長しないな」
「……タレンのせいだろ? タレンの事考えすぎたからこうなったんだ」
「仕事中ぐらい忘れろよ」
「無理。僕の中での優先順位はっ……」
 言いかけて僕は堪らずにタレンを背中から抱きしめた。
 ビクリとタレンの体が強張るのがわかる。
「離れれば離れるほど、タレンへの想いが募るんだ……。タレンの気持ちもわかる。だけど、僕の気持ちも理解してくれよ」
「マイル……」
 手がそっと僕の腕に触れて、二、三度軽く叩かれる。

「えっとな……そのままで聞いてくれよ?」
 腕の中のタレンの温度が、少し上がる。
「俺も…さ。そのさ、知らないけど無意識にお前を探してた」
「……!」
「廊下に出るとマイルの姿探すの癖になっちゃったみたいで、大臣に『なんか変な気配でもあるのか?』って聞かれちゃったよ」

 馬鹿だよな。

 暗闇でタレンは苦笑いする。
 僕は逸る気持ちを抑えて、タレンをまた強く抱きしめた。

「マイルの鼓動が、早い……」
「当たり前だ。好きなやつからそんなこと言われて興奮しないヤツはただの不感症だ」
 
 整えられた襟足に顔を埋める。

「俺も……」
「うん、ドキドキしてる。正常だ」

 きっぱりと言ってやると、ようやくタレンはこちらを向いて、僕に赤い顔を見せてくれた。

「本当に変わらないよな。相変わらずだよ」
「僕は、僕だからな。これでも丸くなった方だと思うよ……?」

 唇を近付けると、瞼が静かに落ちる。

「好きだ……」
 言葉を吸い込む唇が、優しく震えた……。

温度差

 休みの日には、どちらかの部屋で過ごすことが多い。
 今回は、マイルの部屋にいる。

 本を読んだり、行われているイベントの話や、同僚の話。
 全てが他愛のないことばかりだ。だけど俺はその他愛のないことの気楽さがとてもいい。何と言っても恋愛初心者だから。

「マイル、何見てるんだ?」
「フィズ少尉から借りた本」
「へぇ……あの人どんな本を読むんだ?」

 あのマイルが、フィズ少尉にはかなりなついている。

 そう前から思ってはいた。
 組み合わせとしては意外だが、まぁあのフィズ少尉の性格ならばありえなくはないかな、と脳裏に少尉の顔を浮かべながら本を覗き込む。

「ゲッ……おま……」

 妖艶な女性が、全裸でポーズを決めている。

 俺は見る見る間に顔が火照ってくるのがわかった。
 見るに耐えない写真ばかりだから……。

「そっ、そういうの見るんだ……」
「まぁたまには」
 そういえば、彼がノーマルだったことを思い出す。
「タレンは見ないの?」
「みっ、見ない!」
「一回も見たことない?」
「見たことないわけじゃないけれど……そこまで露骨なのは、ちょっと……」

 マイルがニヤリとした。
 それを空気で感じ、俺はギクリとする。
「恥ずかしいんだ」
「そんなことないっ」
「じゃあ一緒に見よう」
 マイルは俺の手を、彼が寝っ転がっていたベッドの方に引っ張る。
 情けない声を上げて、為すがままに彼のひざの上に乗せられた。
「ちょっ……」
「いいから、いいから」

 いや、全然良くないから。

 子供をひざに乗せて本を読む父親のように、マイルはページを捲る。

 うっ、なんで、ここまで、凄いんだよっ……。

 俺はあえて見ないように少し斜め下を向いていた。
 それを知ってか知らずか、低い声が機嫌よさそうに鼻歌などを歌っている。
 その中にページを捲る、紙の音が静かに聞こえた。
「見ないの?」
 吐息がくすぐる様に、俺の耳にかかる。
 わ、わざとだな、コイツ!
 と、すぐに思った。
「一人で読めよ!」
「やだよ、面白くない」
「ふたりで読むような本じゃないだろ?」
「やだ。タレンと読みたい」
「じゃあ! じゃあこの手をどかしてくれっ」

 いつの間にか俺の内腿に手が置いてある。
 アソコに触れるか触れないかの、微妙なポジションで……。

「それもやだ」
「おーまーえーなぁ」
「どかしたらこうやって悪戯できないだろ?」
「あっ、コラッ」
 マイルの指が俺のアソコをズボンの上からさすりだした。
 かっ、感じなきゃいいんだろうけど、なぜか反応してしまう。

 快楽に弱いのだろうか……。

 マイルは調子に乗って俺のズボンの中へ手を入れてくる。
 今度は下着越しに触れられて……瞬時に充血した。
「適度に抜かないと、身体に悪いよ?」
 そのニヤニヤした声がムカつく。
 だけど、触れられるたびに体から力が抜けて、抗えない。
「んっ…ん……」
「本の中の誰よりも、タレンの方が可愛い」
「かわいくなんかっ……」
「その意地っ張りなところも、可愛い」
「だ…からっ……」
 直に触れられて、羞恥心に体が震えてきた。
「もっ……」
「イきそう? イってもいいよ……」
「もう……」
 やめてくれぇぇぇぇぇ!
 身体を引き離そうと腕を振ったら、見事にマイルの顎にジャストミートした。
 一瞬、「あっ」と思ったけど、自業自得だよ、フン!

 顎を押さえてベッドに倒れ込むマイルからさっさと離れて、俺は立ち上がった。
 あっという間に平常に戻った部分をきちんとしまいこむ。
 ちょっと湿ってて気持ち悪い。
 部屋に戻ってシャワーでも浴びよう。

「じゃあマイル、もう今日は一緒にいる理由もないし、部屋に戻るから。また、明日な」

 にっこりと笑い、お大事に、と部屋を後にする。
 
 そしてドッと思い溜息をつく。

 いつもこれだ。

 最後はコレだ。

 ……もっと有意義な休日を過ごせないものだろうか。

 俺とマイルとは、その、付き合うという行為のあの部分が根本的に違う。

 やっぱり恋愛初心者が、あのマイルと付き合っている、と言うこと自体間違っているのではないだろうか。

「でも、結構優しいし、趣味だって合うし、アレの温度差さえなければ……」

 再び溜息をつく。

「どうにかならないかなぁ、アレ……」

 呟いたとき、俺を呼び止めるマイルの声が聞こえた。
 振り返ると、顎が赤い。
 顔は捨てられた犬のような顔をしている。

 ちょっと胸がちくりと痛んだ。

 一度沸いた情は、中々捨てられない。
 捨てる決定打もない。
 だけど、だけどやっぱりあの行為は、受け入れるのに時間がかかりそうだ。

「なぁ、言葉通じる?」
「は?」
 
 マイルは怪訝そうな顔をする。

「もう少し話をした方がいいと思うんだ」

 俺はこの恐竜のような男と、なんとか会話してみようと思った。
 
 俺たちの付き合い方について。

 逃げてばかりじゃやっぱり駄目だよな。歩み寄らなきゃさ。

 嫌な奴、と思ったことはあるけれど、決して嫌いだとは思ったことはないマイルを、俺は見つめた。
 

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